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旅の終わり。

いつ旅を終えるかは、旅の初めから決まっていた。
大学3年の終わりに休学し、1年間だけの旅。
日本へ帰ったら、また作品制作の毎日、日常が待っている。

どこで旅を終えるかは、旅の間に決まった。
テレビや本でしか見たことのない場所。
決して行くことはないと思っていた地球の裏側、南米。

思えば多くの人たちとの出会いと別れを繰り返し、
心が大きく動き、旅が大きく動いた。
それは旅の話だけではなく、日常でも同じことが言えるの
ではないだろうか。

日本を出てエジプトへ飛び、
スーダンやモロッコ、チュニジアを見てヨーロッパへと渡る。

スイスでは物取りに遭い何もかも失い、
ハンガリーやオーストリアで旅の仲間と出会い別れ、
トルコからスペインへの3日間かけて必死に移動した陸路の旅。

トルティーヤのおいしさに目覚めたメキシコ。
グアテマラでは仲間たちとスペイン語を学び、
エクアドルでは赤道を跨ぎ、
ペルーではジャングルの蚊の強さに打ちひしがれる。

そしてボリビアのウユニで旅を終え、再び日本へと戻る。

小さな旅の本では語りつくせないほどの思い出が、
残るチケットの半券や、手帳に書いたイラストからにじむ。

こうしてこの小さくて素敵な旅が終わる。

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あとがき

この旅を終えて思うことは、やはり人は、ひとりでは生きてはいけないということ。
 旅に出る前も出てからも帰国してからも、いつでも私の周りには助けてくれる誰かがいて、 本当にひとりぼっちになったことは一度もない。「一瞬の知り合い」や、「一瞬の親友」は、旅の中では毎日のように出来る。 しかし、それが一瞬のものだからといって寂しいものでは全くない。 その一人ひとりとの関わり合いこそが「旅」だと思うから。

このように感じることが出来るのも、出来たのも、 私を支えてくれた家族、友達、先生方のおかげです。本当に感謝しています。ありがとうございました。
 たとえば、またどこかに旅立ったり、遠い場所で暮らすことがあっても、 私の心から今までに出会った人が消えてしまうことはないし、忘れたくはない。

これからもよろしくお願いします。

照井永里子 

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2016年 11月 28日 発行

著者

照井 永里子

編集
 発行者

TEMSTECH

http://tems-tech.com

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